大人女子のアニメタイム アニメーションの新ジャンル「大人女子のアニメタイム」第2弾、2013年3月NHK BSプレミアムにて新作3本放送決定!「夕餉(ゆうげ)」 声 中越典子 原作 山田詠美 3月10日(日)夜 10:50〜11:15 「人生ベストテン」 声 中谷美紀 原作 角田光代 3月17日(日)夜 10:50〜11:15 「どこかではないここ」 声 木村多江 原作 山本 文緒 3月24日(日)夜 10:50〜11:15

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大人女子のアニメタイム/川面を滑る風

2011番組パンフレット(PDF 1.4MB)

Tag:唯川恵

病む大人を読む

週末、勢いづいて2冊の本を読みました。1冊は「大人女子のアニメタイム‐川面を滑る風」の原作者の唯川恵さんの新作「テティスの逆鱗」。美容整形にはまる女たちが緩やかに狂気に陥っていく過程を恐ろしいほどリアルに描いています。もう1冊は故鴨志田穣さんの「酔いがさめたら、うちに帰ろう」、今映画も公開中です。鴨志田さん=鴨ちゃんは、漫画家の西原理恵子さんの元夫で(最後は一緒に暮らしましたが)、20年来西原理恵子さんの大ファンの私としては、鴨ちゃんは知人のような気がしてしまうのですが…こちらはアルコール依存症の闘病記を、閉鎖病棟の日々とそこで出会った面々のことを、ユーモラスかつ痛いほど切なく描いています。全く異なるタイプの作品ですが、美容整形にしても、アルコールにしても、各登場人物の心の満たされない部分、不安な部分に緩やかに入ってきたものが、しまいにはその人を支配してしまうという恐ろしさを感じました。心の隙間に入り込んでくるものは他にも沢山あります。それに支配されずうまく付き合うにはどうすればいいのか(アルコールだって、うまく付き合えば友にもなり得ますし)…。

「大人女子のアニメタイム‐川面を滑る風」の主人公、乃里子も心の空洞を埋めるため、自分の力では抑えきれない発作的な行動を繰り返します。彼女が救われるためにはどうすればいいのか…「見た後、ずっと考えてしまった」という感想を多くいただきました。

NHKオンデマンドで1回105円でご覧になれます。

http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2010024223SC000/index.html

引き続きNHK「番組たまご」のアンケートへのご協力もよろしくお願いします!

http://www.nhk.or.jp/tamago/program/20110107_doc.html

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ゼロ年代の高揚感

「大人女子のアニメタイム‐川面を滑る風」の主人公、乃里子の婚約時代の2000年代半ば(高校時代に関しては1月10日に投稿を参照)。金沢から東京の大学に進学した後、一流企業のOLになり、同僚のエリートサラリーマンと婚約し、彼の海外赴任で一緒にアメリカに行くことが決まり…まさに欲しかったものを全て手に入れた、全能感あふれる乃里子。そんな彼女に合うファッションも女性誌を中心に色々リサーチしました。当時のCanCamはエビちゃん、山田優さん、押切もえさんが大活躍の時期。女子に生まれてよかったと思えるような、フェミニンだけどかっこいい着こなしがいっぱい。スカートが短くても、タイトでボディラインをくっきり出ても、80年代のボディコンのように男性に訴えるものではなく、女子同士で「かわいい、かわいい!」言い合えるようなファッション。髪の毛もふんわりカールしたりして。主人公の乃里子も、当時のファッションを思い切り楽しんでいます。

でも、そんな時、彼女は久夫と再会してしまう。そして、その後の彼女の人生を変えてしまう出来事が起こってしまう…頂点に達していた高揚感から乃里子はどこに向かうのか…再放送も終わってしまいましたが、録画した方、またご覧になる時は乃里子のファッションもチェックしてみて下さい。

見逃してしまった方、NHKオンデマンドの見逃し番組サービスがあります。値段は単品税込みで105円です。

http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2010024223SC000/index.html

番組をご覧になった方々、是非NHK「番組たまご」のホームページからご意見お寄せいただければ幸いです。以下の頁の右上からアンケート頁にいけます。

http://www.nhk.or.jp/tamago/program/20110107_doc.html

よろしくお願いいたします!

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割り切れないもの

「大人女子のアニメタイム‐川面を滑る風」をご覧いただいた方から「見た後、心の整理がつかず、寝付けなかった」「この後どうなるのか色々考えてしまった」「切ない」などのご感想をいただきました。物語の世界を旅するというのはそういう気持ちを抱くことではないかと改めて感じました。

考えて見れば子供の頃は「割切れる」世界にいると思います。「人を叩いてはいけない」「ウソをついてはいけない」。子供向けの本やテレビも「勧善懲悪」的な白黒はっきりしたものが多いですし。でも大人になるにつれて「割切れないこと」が多くなる…「川面を滑る風」の中で、主人公の乃里子は、久夫の美しい手を「嫌悪にも似た思い」で眺め、「意思が崩れていくような敗北感」を抱きます。好きなのか、嫌いなのか?なぜ屈服せず抗うのか・・・?日常生活では割切れないことだらけ。「愛が覚めたのになぜ結婚生活を続けるのはなぜ?」というのは典型かも?「大人女子のアニメタイム」では、リアルに今を生きる大人の女性達の「割切れない」心情に訴えるような作品に挑戦していきたいと願っています。

番組をご覧になった方々、是非以下「番組たまご」のホームページからご意見お寄せいただければ幸いです。以下の頁の右上からアンケート頁にいけます。

http://www.nhk.or.jp/tamago/program/20110107_doc.html

よろしくお願いいたします!!

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90年代の青春

小説を映像化する際、時代設定を決めることが重要なポイントの1つです。登場人物の服装、持ち物、風景等も時代によって異なるからです。今回の「大人女子のアニメタイム」の原作となった唯川恵さんの「川面を滑る風」は90年代後半に初出ですが、背景のことや、作品が普遍的な物語であることなどを考慮し、現代の物語に置き換えました。そこから様々なリサーチが始まりました。

逆算すると主人公、乃里子の高校時代は90年代前半。その頃のティーン誌の資料等を集めました。女子高生が普通に口紅やマニキュアを持っていたり、ブランド品のデザインをまねた三角リュックやキュートなショートヘアが流行ってたり…。好きな小物で部屋を飾り、憧れのハリウッドのスターの情報を集めたり…。部屋にはMYラジカセが必需品。都会と地方都市との情報格差も少なくなった時代です。だからこそ、どこで生まれ育っても、一歩踏み出せば、今とは違う「新しい自分」になれると思えた時代かもしれません。主人公の乃里子も生まれ故郷の金沢を出て、欲しかったものはすべて手に入れたはず…なのに…

今晩深夜26時45分(11日午前2時45分)から再放送があります。是非乃里子の青春時代にも注目してご覧下さい!

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