「どこかではないここ」 原作 山本文緒 ”Dokoka dewanai Koko”
「大人女子のアニメタイム」の3話目(今シリーズ最後の物語)は山本文緒さん原作の「どこかではないここ」。43歳主婦のお話です。主人公の気持ちに切実に共感してしまう箇所が沢山あります。昨日放送した「人生ベストテン」の主人公の鳩子は40前の独身キャリアウーマン。同窓会で家庭を持つ旧友に会うと「持たない自分」に対して引け目を感じてしまいます。一方家庭を持つ「どこかではないここ」の主人公真穂の心は「持っている」ことにまつわる憂鬱に覆われています。現代女性の憂鬱は、何を持つか「選択」しなくてはならないこと、そして選択しなかった方の人生に思いをはせてしまうことにあるのかもしれません。このような現代の大人の女性たちに向けた物語をアニメーションで描くのが「大人女子のアニメタイム」です。
「何がいけなかったのかわからない。ベストを尽くしてきたつもりなのに―」。
真穂はこう語ります。彼女のこの思いは、物語を通して大人女子だけでなく、男性にもダイレクトに訴えかけると思います。真面目だからこそ滑稽で、絶望があるから希望がある。そんなことを感じさせてくれる素晴らしい物語です。
原作 「どこかではないここ」
文春文庫 『プラナリア』所収
出演 木村多江 福山潤
NHKBSプレミアム 3月24日(日)
22時50~23時15分
・Main Staff ・Cast & Staff ・キャラクターについて
★NHKオンデマンドで配信中
・「夕餉(ゆうげ)」 3月29日まで 原作 山田詠美 出演 中越典子 浪川大輔
・「人生ベストテン」4月1日まで 原作 角田光代 出演 中谷美紀 神谷浩史
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